Jovian-Cinephile1002’s blog

古今東西の映画のレビューを、備忘録も兼ねて、徒然なるままに行っていきます

『 パズル 戦慄のゲーム 』 -韓国製ピエロ映画の失敗作-

パズル 戦慄のゲーム 30点
2020年5月11日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:チ・スンヒョン
監督:イム・ジンスン

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近所のTSUTAYAがうるさいぐらいに『 ジョーカー 』と『 IT イット THE END “それ”が見えたら、終わり。 』を宣伝している。ひねくれ者のJovianは、だったら別の道化ものを借りてやるぜ、とジャケットだけでレンタルを決めた。

 

あらすじ

広告代理店で順調に出世を重ねるドジュン(チ・スンヒン)だったが、妻と娘は遠くカナダはバンクーバーに暮らしていた。妻に対して猜疑心を抱くドジュンは、偶然に知り合った女性セリョンと怪しげなクラブで一夜の関係を持つ。だが、気が付くとセリョンが殺害されていた。誰が、何の目的で?ほどなくして、ドジュンの携帯に脅迫のメッセージが届き・・・

 

ポジティブ・サイド

同じ駄作は駄作でも『 パズル 』よりは良い出来である。オープニング・シーンが『 聖女 Mad Sister 』と同じで、ハンマーを引きずる主人公の姿なのだが、制作はこちらの方が早いらしい。まさか本作が『 聖女 Mad Sister 』に影響を与えたとは思わないが・・・

 

以外にも色々な形で伏線はフェアに張られている。特に中盤の追走シーンでは、多くの人が「何だこれは?」と違和感を覚えるところがあるが、これは監督の意図したものであることは間違いない。終盤あたりからその「演出」がもっと目に見える形で現れてくる。はっきり言ってクリシェであるが、これはこれで一応受け入れてよいのだろう。

 

アクションシーンはなかなかに面白い。何故に普通のリーマンがここまでスラッシャーに変貌するのだと思わせるが、たとえ無意味に思えてもバイオレンスを放り込んでこその韓国映画。『 殺人の告白 』も無意味なアクションだと思えるところに限って、やたらと力が入っていた。

 

ネガティブ・サイド

主人公のhand to hand combatのアクションはまだ許せても、銃を触ったことがないような一般人女性が引き金を引くのが気に入らない。のみならず、ズドンと急所に命中させるところはもっと気に入らない。実弾を撃ったことがある方にはお分かりいただけようが、素人は5m離れれば、まず的には当たらない。十数年前にLAで5mの距離から20発ほど外したJovianが断言する(そういう意味では『 アジョシ 』のラストのガンアクションにはリアリティがあったと改めて妙に納得)。

 

ストーリーの発端となるドジュンの濡れ場のシーンにはエロスが足りない。というか、敢えて嫌な言葉使いをさせてもらえれば商売女なのだから、もっとサービスしろと言いたい。『 オールド・ボーイ 』のミドのまぐわいを100回鑑賞しろと言いたい。脱ぐだけではダメなのだ。脱いだからには色気を感じさせなければならないし、極端に言えば脱ぐ前から色気を発していなければダメだ。それがプロだろう。

 

肝心のオチが正直なところ、あまりにもひどい。二十数年前の『 世にも奇妙な物語 』で見たことがある気がするし、洋の東西を問わずアホほど量産されてきたプロットの焼き増し再生産に過ぎない。そこに新味を加えるべく一捻りを加えてきたが、これは逆効果。このあたりについてはイム・ジンスン監督は『 イニシエーション・ラブ 』を100回鑑賞してみてほしいもの。

 

総評

一言、失敗作である。アクションと流血描写だけはまあまあ楽しい。が、それだけである。ピエロものを観たいのならば『 仮面病棟 』や『 ピエロがお前を嘲笑う 』を観るべし。よほど手持無沙汰な人がちょうど90分を潰したい、という向きにしか本作はお勧めできない。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語会話レッスン

チンチャミアナダ

 

「本当にごめんな」の意である。チンチャは『 母なる証明 』で紹介した言葉で、ミアナダは『 国家が破産する日 』で紹介したミアネの語尾が変化したもの。外国語学習ではある程度ボキャブラリーを蓄えたら、今度はそれを組み合わせる段階に進むべきである。

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