Jovian-Cinephile1002’s blog

古今東西の映画のレビューを、備忘録も兼ねて、徒然なるままに行っていきます

『 ルックバック 』 -生きることは生かすこと-

ルックバック 75点
2024年8月3日 Tジョイ梅田にて鑑賞
出演:河合優実 吉田美月喜
監督:押山清高

 

各方面で評判が良かったのでチケット購入。

あらすじ

絵が得意な藤野(河合優)が学年新聞で4コマ漫画を連載していた。ある日、担任から不登校の京本(吉田美月喜)の4コマ漫画も新聞に載せたいと告げられる。京本の描く絵を目にした藤野はその技巧に打ちのめされ、絵の勉強に打ち込むようになり・・・

ポジティブ・サイド

少女二人の友情物語と思いきや、大人になるまで続く関係なのか。予備知識なしで鑑賞して驚かされた。女二人の友情と別離、そしてそこに絵を描くというモチーフが加わることで傑作『 ソウルメイト 』の日本アニメ版とも言うべき仕上がり。つまり面白かった。

 

画力で劣っていた藤野が、いつの間にやら常に京本の一歩先を行くようになるという対比も冴えていたし、京本の言葉によって redeem された藤野が、今度は自分の放った何気ない一言で京本のとある決心を後押しする。若さというか青春というか、ほんのちょっとしたことが人生の転機になりうる世代の純粋さ、その 鮮烈さを感じ取ることができた。

 

とある事件の被害者に対しての配慮云々という声もあるようだが、Jovianは逆にそこに途轍もないリアリティを感じた。北新地のクリニックの大量殺人プラス焼身自殺未遂事件など、職場の割とすぐ近くで消防車と救急車のサイレンがひっきりなしに聞こえていたのを今でも覚えているが、人は簡単に人を傷つけられる、(残念ながら)そういう時代なのだ。

 

だからこそ自分が生きていくことを、誰かを生かすことにつなげるようにしていきたい。

 

ネガティブ・サイド

絵を描くというビジュアルな物語にしては、BGMが少し出しゃばっていたという印象を受けた。

 

京本とその他アシスタントの背景画の質の違いを藤野の言葉で語る前に、少しで良いから画面に映し出してほしかった。

 

総評

漫画を描く同性の二人組という設定ものでは『 バクマン。 』よりも面白いと感じた。原作の漫画も近いうちにアプリで読んでみたい。夜の上映会だったが、男女共に満遍なく若い世代が目立っていた。それだけ本作が話題になっていて、かつ訴求力があるのだろう。中年以降の世代も楽しめるので、興味があればぜひチケットを購入されたし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

look back

「後ろを見る」の意。これには、1)物理的な意味での背後を見る、2)過去を振り返る、の二つの意味がある。本作では両方の意味で使われている。鑑賞済みの人ならどのシーンがどちらの意味か、すぐに分かるはず。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 大いなる不在 』
『 ツイスターズ 』
『 先生の白い嘘 』

 

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