Jovian-Cinephile1002’s blog

古今東西の映画のレビューを、備忘録も兼ねて、徒然なるままに行っていきます

『 スマホを落としただけなのに ~最終章~ ファイナル ハッキング ゲーム 』 -テロパート以外は見え見え-

スマホを落としただけなのに ~最終章~ ファイナル ハッキング ゲーム 40点
2024年11月3日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:成田亮 千葉雄大 クォン・ウンビ 大谷亮平
監督:中田秀夫

 

スマホを落としただけなのに 』、『 スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼 』の続編。

あらすじ

殺人鬼にして天才ブラックハッカーの浦野(成田亮)は、韓国の地下組織ムグンファからの依頼で日韓首脳会談の妨害工作に動いていた。一方、内閣官房サイバーセキュリティ室に出向中の刑事・加賀谷(千葉雄大)に内通者バタフライの存在も伝えて・・・

 

ポジティブ・サイド

日韓首脳会談を狙ってテロを起こすというのは、ありえなくもない話。そこで使われる手法(それが現実的かどうかはさておき)も、なかなか意表を突くものになっていた。浦野のそうした天才っぷりと同時に、今でも麻美に執着する変人っぷりも描き方のバランスも悪くなかった。

 

主人公が加賀谷ではなく浦野になっていたのも、これはこれでありだろう。『 ボーダーライン 』では主役はエミリー・ブラントだったが、『 ボーダーライン ソルジャーズ・デイ 』では主役はベニシオ・デル・トロに変わっていた。

 

日本人が韓国語を、韓国人が日本語をしゃべりまくる映画。個人的には大谷亮平と佐野史郎は頑張っていた。成田亮の韓国語は普通。つまり上手い。韓国人のクォン・ウンビの日本語は『 新聞記者 』、『 ブルーアワーにぶっ飛ばす 』のシム・ウンギョンより少し下手、という程度。つまり、まあまあ上手かった。

ネガティブ・サイド

バタフライの正体やら加賀谷の妻の思わせぶりな言動など、作り手が観る側をミスリードしたいのは分かるが、何もかもがバレバレで笑ってしまう。冒頭のシーンでも、普通に無名の俳優を使えなかったのか。

 

内閣官房サイバーセキュリティ室もお粗末。Jアラートが発令されながら、室長が「うち?外務省?」と出所を確認するのは二重の意味で滑稽。ひとつはアラートの内容>アラートの発令者という関係を取り違えているところ。もう一つは外務省がJアラートなど出すわけがないということ。

 

公安やら警察の面々が日韓首脳の警護を仰せつかりながら、その真っただ中、しかもフェイクテロに引っかかった直後に別の任務を帯びて韓国に飛ぶなどということがあるものか。元大阪府警のJovian義父が観れば憤慨するか、あるいは頭を抱えることだろう。

 

スミンというキャラとの関係を通じて浦野の人間性を追究しようとする試みは悪くないが、そこにソーシャルエンジニアリングの天才という一面が見られなかった。なぜそこまで早い段階でスミンは組織ではなく浦野に従ってしまったのか。逆にスミンが組織を裏切るような伏線が、実際に裏切った後に出てくるのもおかしい。

 

佐野史郎が出てきたあたりで、エンディングはだいたい予想できた。それは別にいい。問題は、肝心のブツのクオリティがさっぱりだったこと。道具係に時間と予算がなかったのか。それとも単に腕が今一つだったのか。

総評

もはや「スマホを落とす」とは関係のないストーリーだが、浦野と加賀谷の物語に一応の決着はつくので、それを見届けるのはありだろう。

 

Jovian先生のワンポイント韓国レッスン

フェジャン

会長の意。ちなみに社長はサジャン。漢字と音がなんとなく結びつくのが感じられるはず。韓国語の面白いところは、フェジャンニム、サジャンニムのように役職の後にニム=様をつけるところ。Jovianも大学によっては Sir と呼ばれたり、ソンセンニム=先生様と呼ばれたりしていた。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 破墓 パミョ 』
『 ヴェノム:ザ・ラスト・ダンス 』
『 つぎとまります 』

 

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