SMILE スマイル 50点
2024年2月22日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ソシー・ベーコン
監督:パーカー・フィン
劇場予告編か何かで観て、気になっていた作品。面白さはまあまあといったところ。
あらすじ
精神科医のローズ(ソシー・ベーコン)は、カウンセリングをしようとした患者が奇妙な笑顔を浮かべながら自殺するのを目撃する、それ以降、ローズは奇妙な笑顔を浮かべる人物を目撃するようになり、そして彼女自身も不可解な行動を取ってしまうようになり・・・
ポジティブ・サイド
明るいところが怖いという点を売りにした『 ミッドサマー 』の如く、本作は笑顔が恐怖の対象になりうることを示した点でユニーク。
何じゃそりゃ?という不可解な死に方、それに不釣り合いな奇妙な笑顔というアンバランスが不快感を催させる。冒頭の5分でこの世界に引き込まれてしまった。
この笑顔を見せる怪異の正体が不明で、次々に異なる人間の姿で主人公に迫ってくるというのは『 イット・フォローズ 』的で、個人的には好みである。単なる偶然だが、猫の日に本作を鑑賞して、これほど嫌な気分にさせられるとは、脚本兼監督のパーカー・フィンはやり手である。
笑顔の怪異の謎を元カレと共に突き止めようとする中盤以降、謎の自殺の連鎖から逃れた者がいるという情報、そしてその方法が結構えぐい。ただ、そこから論理を突き詰めて、怪異と対決しようというローズの姿勢は精神科医然としていて頼もしい。
本作はカメラワークが良い。ローズが同棲中の婚約者と元カレと一緒にいる時のカメラのズームイン、ズームアウトのタイミングでスリルとサスペンスを生み出している。できれば劇場で鑑賞したかったと感じた。
ネガティブ・サイド
序盤はかなりジャンプ・スケアが多い。そんなものを使わずとも、カメラワークで充分に恐怖感を生み出せることを証明しているのに、何故に安易な方法に走ってしまうのか。笑顔というのは日常でよく見るものなので、その笑顔が本物なのか、それとも怪異なのかとローズおよび観客を疑心暗鬼にさせるシーンはいくらでも撮れるはず。音響で驚かすのではなく、映像で怖がらせる、あるいは不安がらせてほしい。
ローズにはローズのトラウマがあるのだろうが、それでもここまで嫌なキャラに描く必要があったのだろうか。特にFワードの連発には正直辟易した。いや、four-letter word の使用そのものは否定しないが、医師という職業とマッチしていない。加えて、精神科医という仕事のしんどさを丁寧に描くこともしていないせいで、ローズが胸の奥底に抱えている闇のせいだけで嫌な人間になってしまっているように見える。
終盤に出てくる怪異が、まんま『 IT イット THE END “それ”が見えたら、終わり。 』の中盤に出てくるCGモンスターのパクリ。これはオマージュとは呼べないだろう。
ローズの婚約者も、もっとローズに寄り添ってほしかった。ナチュラルに無礼な発言を繰り返して、そらローズも元カレの方に行くわなと感じた。いや、それはプロット上の必然だからしゃーないとしても、トラウマは病気で、その病気は遺伝する発言は行き過ぎ。ドン引きした。
元カレの背景も謎。なにが彼をそこまで献身的にさせるのか。主要キャラたちをもう少しだけ深掘りしてほしかった。
総評
低予算ホラーだが、スプラッタ映画的なグロシーンもあって、見応えはそれなりにある。笑顔が怖いという新機軸もそれなりに楽しめた。キャラとの波長が合うかどうかは観る人次第だが、序盤と中盤は結構怖いので、ホラー耐性のない人にはお勧めできない。ホラー愛好家には傑作たりえないだろうが、話のタネに鑑賞しておいても損はしないだけのクオリティはある。
Jovian先生のワンポイント英会話レッスン
the cold shoulder
冷たい肩ではなく「冷たい態度」の意。しばしば give ~ the cold shoulder で、~に冷たい態度をとる、~にそっけなく接する、のような意味で使われる。My supervisor has been giving me the cold shoulder since I disagreed with her at the meeting. =「会議で異議を述べて以来、上司は私に冷淡な姿勢を取り続けている」のように使う。
次に劇場鑑賞したい映画
『 夜明けのすべて 』
『 犯罪都市 NO WAY OUT 』
『 ソウルメイト 』
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