ムカデ人間 70点
2026年8月23日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ディーター・ラーザー
監督:トム・シックス
あの怪作が theatrical re-release ということでチケット購入。

あらすじ
シャム双生児の分離手術で名を馳せた外科医ヨーゼフ・ハイター博士(ディーター・ラーザー)は、人間の口と肛門をつなぎ合わせてムカデ人間を生み出したいという欲望に憑りつかれていた。ある時、旅行者のアメリカ人女性が二人が自宅に助けを求めてきたことを奇貨として、彼はかねてからの計画に着手する・・・
ポジティブ・サイド
まずキャスティングが素晴らしい。死の天使メレンゲ博士の名を持つ外科医にディーター・ラーザーのギスギスした体形と狂人然とした相貌が非常によく合っている。シャムの双生児の分離術を手がけてきた医師が、今度は人間同士をつなぎ合わせたいと願うのも分からないでもない。人間、たまにはいつもと全然違うことをやりたくなるものである。
インフォームド・コンセントなど必要あるまいに、律儀に術式を説明する博士には震えた。たとえ言葉が分からなくても、ベッド、各種の器具からそこが病院に類する場所で、OHPによって映し出される図式は恐怖以外の何物でもないだろう。ホラーの怪物やゾンビは言葉が通じないのが怖いところだが、別の意味で言葉が通じなくて怖いという演出を本作は作り出した。そこは大いに評価したい。
対照的につなげられてしまった3人は、ボディタッチやジェスチャーでコミュニケーションをとる。ここも個人的に見応えがあった。言葉が通じない、そもそも言葉を発せられないという相手と意思疎通をする際、触覚に頼るのは自然である。それを作りもの感を出さずに自然に演じきった役者陣および演出した監督の仕事に敬意を表したい。
究極のところ、これは東洋人男性が白人女性を蹂躙するという一種の倒錯したサディズムの表現なのではないかと思う。なので日本人男性がアメリカ人女性に食糞させるという一種のリベンジ物語をトム・シックスが代行してくれた、と見るのが精神の安定のためによさそうである。
ネガティブ・サイド
ムカデたちが階段を見て困惑するシーンがあるが、その前に庭に出ているシーンがある。つまり、別の経路がない限り、一度は階段を上がったということ。ここでの困惑の表情はちょっとした矛盾ではなかろうか。
最終盤に差し掛かるあたりの博士の言動はちょっとご都合主義的だったか。
総評
『 悪魔のいけにえ 』と同じく、非常に理不尽で胸糞の悪くなる映画だが、ただの思い付きで作った映画ではないだろう。人間の意志の強さやコミュニケーションについて考えさせられる映画だった。おそらく妻に猛反対される、あるいは鑑賞後にぶん殴られるだろうが、この調子で次は『 マーターズ 4Kデジタルリマスター 』を観に行きたい。
Jovian先生のワンポイント英会話レッスン
centipede
ムカデの意味。ムカデは漢字で百足と書くが、実は英語もこれと同じ。centiはcentimeterやcenturyでお馴染みで、百の意味。pedeはpedalやpedicureでお馴染みで、足の意味。つまり百本の足、転じてムカデである。
次に劇場鑑賞したい映画
『 マーターズ 4Kデジタルリマスター 』
『 四月の余白 』
『 GOOD BOY/グッド・ボーイ 』
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