Jovian-Cinephile1002’s blog

古今東西の映画のレビューを、備忘録も兼ねて、徒然なるままに行っていきます

『 禍禍女 』 -クレイジーな三角関係-

禍禍女 40点
2026年2月7日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:南沙良
監督:ゆりやんレトリィバァ

最初のトレーラーが出た時にはスルー予定だったが、南沙良主演と知り、チケット購入。

 

あらすじ

早苗(南沙良)は同じ大学の宏に恋焦がれるも、彼は別の女の子に夢中で振り向いてくれない。なんとか宏に好かれようとする早苗だが、その宏が謎の怪異、禍禍女に取りつかれてしまい・・・

 

ポジティブ・サイド

もみの家 』の頃から切に願っていたこと、すなわち南沙良のハンドラーたちは彼女に決して凡百の恋愛漫画の映像化のキャラを演じさせないでほしい、という願いは確実に届いているようである。南沙良がまたもエキセントリックな役を見事に演じきった。ストーカー気質女子にして、変態プレゼントを作成してしまう、かつ言葉そのままの意味で芸術的な自慰行為に耽るというキャラで、この役をオファーされて引き受ける女優は日本には10人もいないのではないか。本人およびハンドラーたちにはぜひともこの路線を継続してもらいたい。

 

説明台詞に頼るのではなく、わざとらしいキャラの配置で物語の方向性を示すというのは悪くない。田中麗奈が『 ナイトフラワー 』とほとんど変わらない役柄だったが、なっちゃんはしばらくこの路線で安泰か。

 

ネガティブ・サイド

何もかもが中途半端に感じられた。禍禍女が好いた相手を100パーセント殺し、両目を持ち去るのが怖いのか。それとも想い人が死んでなお思い続け、あまつさえ怪異に対して復讐を果たそうとする早苗が怖いのか。それとも呪いの力をほしいままにしようとする人間が怖いのか。二兎どころか三兎を追って、バランスを崩したか。

 

南沙良への追い込みも足りない。アトリエで宏の像相手に壮大な自慰行為(あくまで比喩だが)をさらすシーンはロングのワンショットで観たかった。また宏へのとんでもないプレゼントを作るシーンも見せるべきだった。イッた目であれを処理する女子大生を演じられるのは南沙良ぐらいしかいないのだから、そこに彼女を追いこむべき。

 

食べ物への異物混入は社会情勢的にありなのか?近年は「本作撮影時に動物に危害は加えられていない」云々の宣言が出るが、本作がきっかけで「本作の撮影に際して食べ物を粗末に扱うようなことはしておりません」という表示が出るようになる、というのは考えすぎか。

 

色々なホラー・ジャパネスクに対するオマージュが盛り込まれていたが、それらがオマージュではなくクリシェになっていた。オマージュは敬意から来る遊び心であって、定番のシーンや構図を入れておけばいいというものではない。クズ男が怪異に無残に殺される、さらに霊能者もあっさり殺されるというのは『 来る 』で見た。禍禍女そのものも『 リゾートバイト 』でそっくりのやつがいた。

 

独自の恐怖のセンス、たとえば禍禍女が人間に変化する、あるいは人間が禍禍女に変化する。そのスイッチが好かれている側の気持ちではなく、そのことに嫉妬する者の気持ちだったら?そうしたプロットに集中すれば、呪いの女と異常な恋心の女のバトルという新しい路線を生み出せたのでは?これは監督ではなく脚本家への注文か。

 

爆破エンドですっきりするのは監督以外にいるのか?

 

総評

観終わった直後、「何じゃこりゃ?」だった。ちょっと無理をして詰め込み過ぎ、かつホラーなのか、コメディなのか、リベンジスリラーなのか、ジャンルもはっきりしなかった。シェアハウスはノイズ。狂った女はストーリーの中では早苗だけでいい。本当は30点だが、南沙良の演技で10点おまけしておく。南沙良ファンなら必見。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

banned words

職業側、使ってはいけない言葉を受講生に教えていたが、よくよく考えるとこれは矛盾している。近年のAIキャラと会話できるアプリの進化は凄まじいが、そこで使用禁止語句が設定されているものは実は結構珍しい。そうした禁止語句は banned words と呼ぶことが多い。本作では南沙良がとんでもない banned words を連発するシーンが白眉である。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ペンギン・レッスン 』
安楽死特区 』
『 マーズ・エクスプレス 』

 

現在、【英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー】に徐々に引っ越し中です。こちらのサイトの更新をストップすることは当面はありません。

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『 ランニング・マン 』 -実現しそうなディストピア-

ランニング・マン 65点
2026年2月7日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:グレン・パウエル
監督:エドガー・ライト

シュワルツェネッガーの『 バトルランナー  』を、1989年前後の大みそかに家族や親せきと一緒にテレビで観た記憶がある。リメイクがどんな具合か確かめるためチケット購入。

 

あらすじ

スラムに暮らすベン・リチャーズ(グレン・パウエル)は病気の娘の治療代、さらには家族でスラムから脱出するためのカネを得るため、デス・ゲームであるランニング・マンへの出場を決意する。トライアウトを見事に通過したベンは、30日間をハンターたちから逃げ切ることができるのか・・・

 

ポジティブ・サイド

貧富の格差がさらに広がったディストピアで、下級市民は放射線被ばくのリスクのある仕事に従事するしかない、というのは日本でもアメリカでもありそうな話。スラムと都市部の間に物理的な壁が存在するのもリアル。ハリウッドなどの高級住宅地とその他の地域の間にはゲートが存在するからだ。

 

持たざる者が持てる者に反抗する一つの形としてランニング・マンは、一歩間違えば『 サークル 』のような、全国的な監視ネットワークの構築に資するもののようで恐ろしい。一方で『 ワン・バトル・アフター・アナザー 』や『 ハリエット 』のように、逃亡を助けてくれる個人が存在するのもアメリカ的と言えばアメリカ的だった。

 

ランニング・マンが定期的に送らねばならない映像が、ネットワークによって好きなように加工されてしまうというのは象徴的。たしか『 バトルランナー 』でもそうだったか。我々がメディア(それがテレビでもラジオでも新聞でもネットでも何でもいい)、つまり中間媒体を通じて情報を得る時、その情報が操作や加工をされていないという保証はないと言っているかのようだ。

 

殺人が娯楽になるとは思いたくないが、『 ザ・ハント 』や『 バクラウ 地図から消された村 』のような世界は着実に近づきつつあると感じる。コメディックに展開し、最後に救いすら感じさせるが、それすらも大衆の消費の対象に過ぎないのかもしれないと思うと、ほんの少しぞっとする。

 

ネガティブ・サイド

お守りの靴下が決定的なアイテムになるかと思ったが、そうはならなかった。また、ベンが他人の苦境を決して見捨てられない男であるという性質もあまり活かされなかった。

 

「スラムには逃げ込むな」というアドバイスがややご都合主義か。自分が主人公ならスラム街の住人同士で結束を固め、誰かがランニング・マンになった時にそのスラムコミュニティ全体で匿ってやり、10億ドルの恩恵に与ろうと画策するが。

 

中盤までは面白いが、終盤に向かって主人公の逃走が極まっていくと、逃走から反撃に転じてしまう点が腑に落ちなかった。『 バトルランナー 』は相打ちというか自爆的な攻撃だったが、本作は『 マトリックス レザレクションズ 』的な終わり方が個人的には合わなかった。

 

総評

悪い作品ではないが、エドガー・ライトに求められる水準に達しているかと言えばそうではない。ディストピアでありながら、どこか『 ショーン・オブ・ザ・デッド 』的な雰囲気になっているのがノイズに感じられた。ただ、細かいことは考えず、2時間ちょっとポップコーンをほおばりながら楽しみたいという向きには好適かもしれない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

That’s the spirit.

これは決まり文句で「その意気やよし」、「そうこなくっちゃ」、「いい心がけだ」のような意味。若い従業員が「今月1000件テレアポします!」や「Zoomアポを20件獲得します!」のように言ったら、That’s the spirit! と声をかけてあげよう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

安楽死特区 』
『 マーズ・エクスプレス 』
『 禍々女 』

 

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『 利休にたずねよ 』 -想像の利休伝記-

利休にたずねよ 65点
2026年2月4日 DVDにて鑑賞
出演:市川海老蔵
監督:田中光敏

 

公開当時、TOHOシネマズかブルク7で観たんだったか。近所で中古DVD市があったので購入。

あらすじ

茶人の千宗易市川海老蔵)は独自の美を追求する茶道でもって織田信長羽柴秀吉といった天下人に認められ、名を成していく。しかし、宗易が世に認められていくほどに、秀吉から疎まれるようになり・・・

 

ポジティブ・サイド

海老蔵は着物の着こなしがよく、所作も美しい。袱紗捌きも見事の一語に尽きる。『 国宝 』の喜久雄もかくやである。当たり前か。青年期から老境までを演じきったのは見事。利休というと茶の湯御政道のプロモーター兼アドバイザーであると考えられているが、その前半生を大胆に解釈した点は評価に値する。

 

壮年期の利休が口にする美徳、美学、哲学が若き日の利休の体験から来ているというのは面白かったし、説得力もあった。三つ子の魂百までと言うが、若い頃の強烈な体験には程度の差こそあれ、誰もが影響を受けている。利休の場合、その対象が異国人だったというのも大胆だが、荒唐無稽とまでは言えない。利休の茶の湯の精神に一期一会があるが、本当に一度きりしか出会えない相手とは誰か。なぜ一度しか出会えないのか。本作をそこを突き詰めたと言える。

 

筆談シーンは非常に美しい。言葉は通じないが、漢字でなら通じる。逆に今だと通じないというところが惜しい。利休の死にたいけれど死ねない、死んではならないという想いにフォーカスすることで、利休が切腹を命じられた理由は何であったのかというミステリーをすべて包括する物語になったことは歴史ものとして評価したい。

 

ネガティブ・サイド

邦画の悪いところが時代劇でも出てしまった。なにもかも台詞で説明するのは本当に必要か?秀吉と宗易の付き人同士の会話、瓦職人が茶壷を手に取った時の感想。中谷美紀演じる利休の妻の心の声も微妙にノイズ。こういったものは感嘆の声と表情、所作で表現するものではないか。

 

躙り口など、利休の茶室の特徴の起源は説明されたが、黄金の茶室とは結局何だったのか。

 

総評

まあまあ面白い作品。公開当時はえらい叩かれた記憶があるが、茶の湯の起源を某国に求めたわけではないことは明白。利休の美意識の原体験とはどんなものだったのかを大胆に想像した作品。時代劇ではなくロマンスとして鑑賞すればよい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

tea ceremony

茶道の意。日本人なら誰でもたしなむものと誤解した留学生が20数年前にはたくさんいた。ceremonyはラテン語のcaerimonia由来で、ポルトガル語ラテン語に非常に近い。同時代にはカステラや天ぷらが日本に伝わった。日本古来の伝統の多くは外国由来なのだ。茶の起源も中国。異なるものを排斥するのではなく、それらを上手く取り込むことだ。

 

次に劇場鑑賞したい映画

安楽死特区 』
『 マーズ・エクスプレス 』
『 禍々女 』

 

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『 ACE COMBAT™/S THE SYMPHONY 30TH ANNIVERSARY 』 -I got my ticket’s worth-

ACE COMBAT™/S THE SYMPHONY 30TH ANNIVERSARY 80点
2026年1月31日 埼玉会館にて鑑賞
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:栗田博文

 

年来のAce Combatファンとしてチケット購入。腰痛でダウン中だったが、無理して埼玉遠征してよかった。

 

ポジティブ・サイド

指揮者の栗田氏、どこかで見覚えがあったが、2019年のオリックス劇場で『 モンスターハンター 15周年記念 オーケストラコンサート〜狩猟音楽祭2019〜 』で指揮していたか。当時、受講生だったCAPCOMの作曲家Uさんからチケットを頂戴して、妻と行ったんだったか。当時と同じく、オーバーリアクション気味の指揮と、大胆な音楽的解釈で魅せてくれた。

 

トレーラーでフィーチャーされたAC8のメインテーマがいきなり序盤で炸裂。小林啓樹節が炸裂する楽曲で、荘厳さ、勇壮さにあふれていた。

 

個人的に一番良かったのは Stonehenge 。非常に機械的、無機質で、どこか Jaws 的に繰り返される低音メロディにAC04のライトモチーフが絡む楽曲が、巨大兵器の破壊に挑む人間の勇気を奮い起こす音になっていた。凄かった。

 

Agnus Dei のテンポがオリジナルよりややスローかなと思ったが、Barzz〜鳥の吟遊詩人たち〜のラテン語歌唱が実によくマッチしていた。

 

The Journey Home への観客の歌唱参加というのは、AC5のNovember Cityを思わせる演出。企画した渡辺氏は誇ってよい。

 

Special BandによるAC2の音楽も素晴らしかった。事前に Fire Youngmanが演奏されるのはSNSで見てしまったが、今回はなんと Waning Line ではなく Head Firstとは!選曲のセンスが光っている。

 

全体的な構成は25周年記念とほとんど同じだったが、最後の曲が A Brand New Dayではなく、まさかの Blue Skies 、これは嬉しい不意打ち。

 

合間合間に Project Aces の面々が登壇し、トークをしてくれた。小林氏だけがそのたびに楽団員に拍手を送っていたのが印象的だった。

 

実はJovianはAce Combat 5のイースターエッグであるシロクマ親子の所在についてNamcoに手紙で尋ねたことがある。そして菅野昌人氏から返信をもらい、その情報を日米同時公開し、多くのプレーヤーのシロクマ発見をアシストしたのが、ちょうど19年前の今頃。菅野氏はおられなかったが、まだシリーズが続いていき、自分がリアルタイムでそれを追うことができていることに感謝したくなる時間だった。

ネガティブ・サイド

13:30開演予定だったはずが、13:25分にはProject Acesの面々がステージ上に登場して、あいさつが始まった。数分遅れるのはありだが、早まるのはいかがなものか。

 

パンフレットは会場のキャパいっぱいまで部数を用意して販売するべきでは?

 

Alicornで2か所、弦楽器が音を一瞬だけ外したかな。

総評

今回、東響の演奏を初めて聞いたが、かなりテクニシャンぞろいだと感じた。Invincible Fleet や The Liberation of Gracemeria ではヴァイオリンやチェロ奏者が腕の動きだけではなく、首の角度や体の傾きまで一致させて演奏する様に驚かされた。映画やゲーム音楽のコンサートには色々な発見があって刺激的だ。今後も年に何度かはチケットを買うようにしたい。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 28年後...白骨の神殿 』
安楽死特区 』
『 マーズ・エクスプレス 』

 

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『 MERCY マーシー AI裁判 』 -推定無罪の原則を忘れるな-

MERCY マーシー AI裁判 40点
2026年1月24日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:クリス・プラット レベッカ・ファーガソン
監督:ティムール・ベクマンベトフ

 

仕事で毎日AIをこき使っている者として、チケット購入。

あらすじ

警察官のクリス・レイブン(クリス・プラット)は目が覚めると、AI裁判官のマーシーレベッカ・ファーガソン)の前にいた。罪状は妻殺し。自身の犯行ではないと90分以内に証明できなければ処刑される。クリスはデータベースの中で真相を追うが・・・

ポジティブ・サイド

現代のアメリカ社会を(報道を通して)観察する限り、『 シビル・ウォー アメリカ最後の日 』の日に近づいている・・・とまではいかないものの、分断と排斥がかなり進んでいるようだ。本作の冒頭数分で描かれるようなレッドゾーンの設置などは近い将来に現実になるかもしれないと感じさせられた。

 

人間が乗れるタイプのドローンもかっこいい。アメリカや中国なら安全性は別にして一部の場所で実際に飛ばせそうな、リアルなガジェットだ。

 

主人公はなかなかクソ野郎なのだが、警察官としては優秀で、情報を片っ端から線形分離していく。これは秀逸で、情報を非線形分離するAIとのコントラストになっていた(が、マドックス自身は情報を非線形分離していないようだったが)。人間の直感をうまくビジュアル化できていたと思う。

 

真相もまあまあ。いつの時代でも『 コンタクト 』の狂信者みたいな奴はいるのものである。

 

ネガティブ・サイド

構成はほとんど『 search サーチ 』と同じで、大部分はモニター画面上で進行する。残念ながら、そこに目新しさはなかった。

 

筋立てとしては『 マイノリティ・リポート 』と同じく、警察官自身が殺人の嫌疑をかけられるというもの。ただ『 マイノリティ・リポート 』は事件発生前であるため、弁護士も何もない。一方で本作では主人公の妻が殺害されている。にもかかわらず、弁護士もつかず、ろくな捜査もなく、いきなり処刑まで90分。しかも、推定有罪ときた。これが2080年とかなら、まあ分からなくもないが、2029年?3年後?

 

SFだと言われればそれまでだが、推定有罪率92%で処刑というのは誰が決めた?たとえばの話、100回中8回エンジンがかからないクルマ、100回中8回鳴らないインターホン、100回中8回起動しないPCなどがあったとして、誰がそんなものを買って、使うのか。設定があまりにも荒唐無稽すぎて、白けてしまった。

 

そもそもトレーラーが色々と余計な情報を出し過ぎ。さらにハリウッド映画を見慣れている人なら、開始から20~30分で「ははあ、真相は不明だが、多分こいつが犯人または元凶だな」と分かってしまう。Jovianも第一感で怪しいと感じた人物がそれだった。つまらん。

 

途中でAI裁判官のマドックスがグリッチを起こすが、そんな演出は不要だった。

 

総評

AI裁判官というよりも、AIアシスタントだった。また、AIは膨大なデータを非線形分離させるため、新たな判断材料が提示されるたびにアウトプットが揺れ動く。が、本作ではクリスが新たな証拠やデータを見つけても、特に数字を変えないシーンが多く、リアリティは感じられなかった。AIに目をつけるのは良いが、リアリティを求めてはだめ。手持ち無沙汰の週末に暇つぶしのために観るぐらいの気持ちでちょうどいい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

red tape

まさか先日紹介したばかりのフレーズが出てくるとは。AIがとある会社を指して「あそこは手続きが面倒くさい」と言うのだが、そこでこのフレーズが使われていた。弊社もデジタル署名が可能なのに、なぜかそれをプリントアウトして押印しなければならないという理不尽な red tape が一部の役員向けに存在する。そういう日本企業は実はかなり多いのではないだろうか。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 28年後...白骨の神殿 』
安楽死特区 』
『 マーズ・エクスプレス 』

 

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『 長安のライチ 』 -すまじきものは宮仕え-

長安のライチ 75点
2026年1月22日 テアトル梅田にて鑑賞
出演:ダー・ポン
監督:ダー・ポン

 

熱烈 』のダー・ポン監督が主演かつ監督だと知り、チケット購入。

あらすじ

算術を得意とする下級官吏の李善徳(ダー・ポン)は、愛妾・楊貴妃のために生のライチを5000里の彼方から届けよという勅令を受ける。失敗すれば命がないと覚悟しつつ、李善徳は妻子を長安に残し、嶺南の地に向かって旅立つが・・・

ポジティブ・サイド

中国の官僚のストーリーながら、そこには現代のサラリーマンの悲哀ものぞく。『 プーと大人になった僕 』さながらに、上からの命令に従わざるを得ない李善徳に己を重ね合わせてみる者は多いだろう。それがさらに陰謀の一環であったとしたら・・・まさに kiss ass を怠ったサラリーマン。すまじきものは宮仕えか。

 

嶺南の地で出会うライチ農家や商人たちとの友情が見逃せない。特に商人と役人の友情という点で、善徳と蘇諒の奇妙な関係は『 工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男 』のパク・ソギョンとリ所長の関係を彷彿とさせた。

 

数学者として論理的に経路を構築し、距離と速度と時間を計算し、それらを表の形にしていく。ガントチャートみたいなもので、サラリーマンならこれもお馴染みだろう。それを見た蘇諒が「真似してもいいか?」と尋ねるのは学習と成長への意欲の表れで、この姿勢が後々に効いてくる。

 

しかし善徳を取り巻く人々の中で最も印象的なのは元奴隷の邑奴だろう。主体性を持たず、言われるがままを行う。そんな男に「長安に来るかどうかは自分で決めればよい」と伝える善徳。突き放しているようで違う。官僚として皇帝の命令には絶対服従な自分とのコントラストを見出したのだろう。邑奴の生き様は感動的ですらあった。

 

最後に長安にたどり着いた善徳はサラリーマンではなく、現代中国の庶民のシンボルだった。彼の叫びは古今東西を問わず、多くの人々の心に突き刺さる。これが中国政府当局の検閲を潜り抜けたのが驚き。中国政府当局もこうした形でなら、権力批判を許してくれるのか。帝国主義的な姿勢を隠さない中国だが、内部的には葛藤があるのかもしれない。

ネガティブ・サイド

字幕で何度か住宅ローンという言葉が出てくるが、ライチやバナナはまだしもローンなどという外来語を唐代中国を舞台にした映画で採用するか?

 

阿僮と善徳の友情、絆が醸成されていく様子をもう少し映し出してほしかった。

 

杜甫安禄山を出す必要はあったのだろうか。杜甫といえば「国破れて山河在り」で、今はちょうど受験シーズン。安禄山という名前で色々と思い出す人もいるだろう。

 

総評

歴史ものとしてもヒューマンドラマとしても文句なしに面白い。李善徳およびライチ運搬が史実かどうかについて興味がある向きは、こちらの英語記事が非常に読みごたえがあるので、英検2級以上、英検準1級未満の英語力で読めるのでチャレンジしてみてほしい。デレク・ツァンに続いて、非常に楽しみなタレントが出てきた。ダー・ポンの名前はぜひ覚えておこう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

red tape

繁文縟礼の意。といっても、これで意味が通じれば古文・漢文にかなり通じている人である。意味は「形式的かつ煩雑な手続き」のこと。役所に行ったりすると、場合によっては2枚の書類に4回住所や氏名を書かされたりするが、それこそ繁文縟礼の典型だ。英語ではこれをred tapeと言い、I hate having to deal with red tape every time I come to city hall. のように使う。

 

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『 MERCY マーシー AI裁判 』
安楽死特区 』

 

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『 Osaka Shion Wind Orchestra ドラゴンクエストコンサート in 大津 』  -DQ Ⅰ, Ⅱ, Ⅲ-

Osaka Shion Wind Orchestra ドラゴンクエストコンサート in 大津 
2026年1月18日 大津市民文化会館
演奏:Osaka Shion Wind Orchestra
指揮:永峰大輔

こちらの記事で書いた通り、ドラゴンクエストコンサートに行ってきた。今回の feature は DQ Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ。いわゆるロト三部作である。Jovianの世代だとⅡとⅢがど真ん中である。

DQⅠからは

- 序曲
- ラダトーム
- フィナーレ

DQⅡからは

- 遥かなる旅路広野を行く果てしなき世界
- 恐怖の地下道~魔の塔
- 聖なるほこら
- この道わが旅

DQⅢからは

- 世界をまわる(街~ジパング~ピラミッド~村)
- 冒険の旅
- 海を越えて

- おおぞらをとぶ

- 戦闘のテーマ~アレフガルドにて~勇者の挑戦
- そして伝説へ

最も印象に残ったのは『 この道わが旅 』、次が『 勇者の挑戦 』、その次に『 果てしなき世界 』か。『 この道わが旅 』は、『 序曲 』を除けばおそらく最も多くアレンジされ、再解釈、再利用されてきた曲であると思う。なんというか、冒険の旅を振り返る曲なのだが、この年齢になるとこれまでの人生を振り返って、山あり谷ありだったが、なんだかんだで悪くない人生を歩めているのかな、という気分にさせてくれた。

 

やや残念だったのは『 序曲 』と『 そして伝説へ 』とアンコールのアンコール曲(一応、両方とも曲名は秘す)。前者は曲の入りっ端で、フルートあたりが一瞬音を外してしまった。後者は最後の最後でティンパニーが余計な音を鳴らしてしまった。アンコールのアンコール曲は、吹奏楽器全般が息も絶え絶えというのは大げさだが、かなり披露していて、素人の耳にも分かるほどリズムが整わない瞬間がいくつかあった。疲労はしゃーないとはいえ、最後は踏ん張ってほしかった。

 

全体的には満足のいくものだった。指揮者の永峰大輔は初期のドラクエ音楽の技法について造詣が深いらしく、いかに少ない音で和音を構成するか、そこにクラシックのどのような技法が用いられているのかをほんの少しだけ語ってくれた。ブログやYouTubeなどで、もっと公に音楽家が音楽家をレビューしてほしいと思わされた。

 

今回の座席は最前列の一番右。目の前に、前回色々と気づきがあったコントラバスが。演奏者が同じ人だったかどうかは分からないが、かなり若い女性、かつ相当に腕が立つという印象を受けた。その隣がチューバのおじさんで、こちらは合間合間に唾液の入った管のふたをあけて、中身を椅子の下に敷いた布に何度もタラーリ・・・ 最前列だからこそ見えてしまうトラップだった。見せない工夫というか、客席側の椅子の足の間にミニカーテンでも設けて、反対側から唾液を処理するなどできないものか。

 

4月末に豊中でも同じコンサートがあるので、滋賀は遠いという理由で見送った向きは、こちらに参加してはいかがだろうか。お次は1月31日に埼玉まで遠征し、Ace Combat 30th Anniversaryのコンサートを鑑賞予定である。

次に劇場鑑賞したい映画

『 28年後...白骨の神殿 』
『 MERCY マーシー AI裁判 』
長安のライチ 』

 

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