Jovian-Cinephile1002’s blog

古今東西の映画のレビューを、備忘録も兼ねて、徒然なるままに行っていきます

『 交換ウソ日記 』 -セクハラのオンパレード-

交換ウソ日記 40点
2023年7月14日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:桜田ひより 高橋文哉
監督:竹村謙太郎

妻が映画.comを見て、「これ☆4.1やで。漫画の出だしも面白かったし行こう」と言う。何か嫌な予感がしたので無料鑑賞クーポンを発行。この選択は正解だった。

 

あらすじ

黒田希美(桜田ひより)は、移動教室の机の中に「好きだ」と書かれた手紙を見つける。送り主は学校一のイケメン、瀬戸山潤(高橋文哉)からだった。希美は恐る恐る返事をしたため潤の靴箱に入れたことから、二人の交換日記が始まった。しかし、潤が告白した相手は実は希美の親友の江里乃だった・・・

ポジティブ・サイド

Line や Instagram のDM全盛のご時世に紙のノートで交換日記というのは実に微笑ましい。今どきの高校生がそんなことをするとは思えないが、それだけに二人が日記のやりとりに夢中になるのが分かる。多くの高校生の恋愛ものが告白するまでがゴールなのに対し、本作は告白から始まる、なおかつ相手を間違えるというところがユニーク。これはアイデアの勝利と言える。

 

主演の桜田ひよりは『 妖怪人間ベラ 』や『 映像研には手を出すな! 』での謎めいた美少女役が印象に残っている。本作では自分の中身がないようでいて芯のある高校生を上手く演じた。自分を表現するのが苦手なだけで、放送部員として時々流す音楽が自己表現の手段になっているという演出は悪くない。自分の気持ちに素直でありたいがゆえに自分を偽り親友を裏がってしまうという罪悪感を、薄幸そうな見た目にも乗じて上手く表出していた。

 

男で壊れる女の友情や、女同士の仲直りはテンプレ通りで及第点。全体的には落ち着くべき地点にしっかりと落ち着いたなという印象。

 

ネガティブ・サイド

ヒーローであるべき瀬戸山が全然それっぽくない。勉強ができないのはいいとしても、肝心のサッカーめちゃくちゃ下手くそなのには苦笑せざるを得なかった。もうちょっと練習しようや。それか監督がもっと役者を追い込まんと。江里乃のバスケも同様。ドリブルした瞬間に素人だとバレる。練習していたわけではないが、『 ショーシャンクの空に 』で数時間にわたって黙々とキャッチボールをしたと言われるモーガン・フリーマンを少しは見習うべし。

 

あとは瀬戸山の希美に対する目に余るセクハラの数々。原作は小説らしいが、どれくらいこういう描写があるのか。それとも映画化に伴って脚本家が色々と詰め込んできたのか。女子の髪の毛やらほっぺたやらを触る邦画は過去にもあったが、本作は酷過ぎ。本邦のアホな中学生高校生大学生男子が本作を観て、「そうか、好きな子にはこうやってアプローチしたらいいのか」と勘違いしないことを切に祈る。というか、今あっさりとネタバレしたけど、ええやろ。

 

交換日記というアイデアは悪くないのだから、後はそれがどうバレるのかというサスペンスを盛り上げなければならないが、その仕込みがあまりにもあからさますぎ。球技大会にかこつけず、なにかもっと別のもの、たとえば黒板の板書とか、放送室のすぐ外の掲示物とか、もっとさりげないヒントを出せたはず。おかげで中盤以降は惰性で観てしまった。

 

最後のエピローグも蛇足。もしやるなら希美が潤を完全に尻に敷く展開でないと意味がない。告白大失敗エピソードがその後の二人の力関係を決定づけてしまった、というのなら分かるが、そうなっていない後日談に意味などあるのか。

 

総評

本作は『 シラノ 』でお馴染みのシラノ・ド・ベルジュラックの変則バージョンなのだが、演出面が非常に弱い。というかJovian妻が読んだ漫画によると江里乃は瀬戸山をにくからず思っているそうだが、何故そこを変えた?そのせいで交換ウソ日記の内容に関して希美が葛藤するシーンが減ってしまった。脚本には自分の願望ではなく面白いアイデアを詰め込んでほしい。デートムービーにはならない。とにかくセクハラシーンが多すぎる。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Nothing lasts forever.

「永遠に続くものは何もない」、「何事もいつかは終わりを迎える」の意。劇中でも同様のナレーションがあった。良い状態・状況にも悪い状態・状況に対しても使う。コロナ禍や不景気でもいいし、付き合い始めや新婚のラブラブムードに対して使ってもいい。

 

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