殺人女優 60点
2024年10月19日 シネマート心斎橋にて鑑賞
出演:ジヨン
監督:ユ・ヨンソン
妻の「面白いんかなあ?」の一言でチケット購入。邦画では絶対作れないであろう作品だった。
あらすじ
女優のスヨン(ジヨン)は、ある出来事がきっかけで業界を干されていた。ファンがほとんど集まらなかったサイン会の夜、同居している後輩女優と言い争いになってしまう。目覚めたスヨンは、その後輩が死んでいるのを発見してしまう。果たしてこれは自分の仕業なのか・・・
ポジティブ・サイド
韓国映画でいつも感心するのが、女優が発狂する瞬間。本作でもスヨンは様々なストレスを抱えているが、それが爆発するシーンの迫力は見もの。国民性の違いもあるのだろうが、純粋に演技に対する考え方の違いも大きいはず。
また流血描写に殺人描写など、暴力シーンも本作の特徴の一つ。日本の女優やアイドルなら絶対に拒否するであろうシーンが次々に出てくる。ジヨンではないが、別の女性キャラの用便シーンなどもある。韓国映画はそうした描写から決して逃げない点もポイントが高い。
死体が移動したり、謎のメッセージが届いたりと、謎解き要素もふんだんにちりばめられていて、それが上質なサスペンスにもつながっている。冒頭から女子高生の回想シーンがたびたび挿入され、それがジヨンの現在とどう結びついてくるのかという点も、ミステリアスかつサスペンスフルだ。
原題は Wannabe だが、これを『 殺人女優 』としたのは配給サイドの隠れたファインプレーである。
ネガティブ・サイド
攻撃的な知的障がい者のキャラは蛇足だったかな。本筋に全く関係なく、ただ単にバイオレンスとサスペンス、そして警察を呼び込むという装置にしか見えなかった。何かもっと説得力のある筋立てが欲しかった。
代表が家に帰り着くのが遅すぎる。おそらく酒席で酔っていて酔い覚ましが必要だったのもあるのだろうが、事務所の期待の星を都市部からあれほど離れた片田舎に住まわせるのかというのも大いに疑問だ。
スヨンの不祥事というのが普通に重犯罪で、いくら呑み助だらけの韓国社会といえど、とても許容できるものではない、つまり芸能界に留まれるものではないと思われる。もう少しソフトな不祥事(たとえば政治家もしくは財界人の愛人疑惑があったetc)を設定できなかったのか。
総評
ショッキングな展開が多く、バイオレンスも激しい。人によっては拒絶反応が出るだろうが、本作のポスターを見れば内容はともかく展開の予想は容易につく。なので耐性のある人だけが鑑賞するようになっているはず。鑑賞後、ロビーで大きな声で展開の仕方や真相を絶賛するおっさん二人(Jovianより15~20歳は上だったかな)が印象的だった。韓国映画は波長が合う人にはとことん合うのだ。
Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン
アラッチ
アラッチ⤴という上り調子で使われることが多い。「分かった?」という意味で、ややくだけた表現。韓国映画を観ていると頻繁に使われる表現なので、知っているという人も多いはず。
次に劇場鑑賞したい映画
『 ぼくのお日さま 』
『 若き見知らぬ者たち 』
『 破墓 パミョ 』
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