Jovian-Cinephile1002’s blog

古今東西の映画のレビューを、備忘録も兼ねて、徒然なるままに行っていきます

『 イノセンツ 』 -超能力子どもジャンルの佳作-

イノセンツ 70点
2023年7月30日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:ラーケル・レノーラ・フレットゥム
監督:エスキル・フォクト

同僚の突然死やら自分自身のMRSA感染などもあり、簡易レビュー。

 

あらすじ

イーダ(ラーケル・レノーラ・フレットゥム)は両親の仕事の都合で、自閉症の姉アナと共に団地に引っ越しする。イーダはそこでベンジャミンという男の子と知り合う。彼は不思議な力の持ち主で、イーダはその能力に魅了されてしまう。一方、姉のアナはアイシャという女の子と不思議な形で心を通わせ始めていて・・・

ポジティブ・サイド

子どもの持つ純粋さと、それゆえの残酷さがよく描かれている。猫を殺すシーンは残酷極まりないが、大人だって堂々と尊厳死を議論している。子どもは大人の写し鏡で、逆もまた然り。子役たちの演技はどれも素晴らしい。子どもならではの無邪気さと、子どもならでは邪悪さが、表情にも仕草、行動にもさりげなく表されている。

 

友情と、その亀裂、そして最後の超能力対決までサスペンスが途切れることがない。特にラストの対決では、自閉症とコミュニケーションに対して大きな示唆を与えているように感じられてならなかった。

 

ネガティブ・サイド

団地というロケーションをもっと際立たせられなかったか。移民の子どもであることや顔の白斑など、差別・疎外される要素があり、実際に差別・疎外されるシーンがあれば、4人が奇妙な友情をはぐくんでいく展開にもっと説得力が出たものと思う。

 

総評

監督・脚本が『 テルマ 』の脚本を書いたエスキル・フォクト。同作と同じく人間の倫理観が大金テーマになっている。ハリウッドは超能力=国家の危機的な大味な展開に持っていってしまうが、子どもには子どもの世界があるのだということを本作は静かに、それでいて力強くアピールしている。大友克洋の『 童夢 』にインスパイアされているらしいが、そちらは未読。今度読んでみようかな。

 

Jovian先生のワンポイントノルウェー語レッスン

natt

ノルウェー語で night の意。劇中で子どもたちが夜寝る前に母親に Natto というシーンが複数回あるので、すぐに分かった。英語でも Good night と言わずに Night の一言だけで済ますことが多いが、ノルウェー語も同様のようである。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 658km、陽子の旅 』
『 神回 』
『 セフレの 品格 プライド 』

 

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